皆さん、こんにちは。FPかぴさんです。
実は先日、当ブログの問い合わせフォームからお問い合わせをいただきました。
内容はとても深刻かつ重要性が高いものです。
急ぎ保険会社に問い合わせ、お問い合わせいただいたK様にご返信をさせていただきましたが、やり取りをさせていただく中で私はこう思うようになりました。
- 「もしかしたら全国に同じような事象で困っている方がいらっしゃるかもしれない。」
- 「お問合せいただいた内容をブログで共有できたら、誰かが救われるかもしれない。」
K様にご相談させていただいたところ、快くブログへの掲載をご了承いただきました。
K様、改めまして本当にありがとうございます。
ということで今回は、K様が詳細に教えてくださった内容を、個人情報を伏せたうえで共有できればと思います。
かなり臨場感のある内容です。
ぜひご覧ください。
お問合せ内容
シングルマザーの義姉が突然、くも膜下出血で倒れ意識不明。
大手生命保険会社に死亡保険と医療保険をかけているため、指定代理請求人である義姉の一人娘が給付金を請求。
しかし保険会社の担当からは「指定代理請求人が未成年のため請求ができないので、診断書を送ってほしい」と言われた。
早速診断書を送ったが、2週間以上待ってもなんの返答もない。
そこで質問。
①「請求から振込までは5日」という規定があるのに、なぜ給付に時間がかかるのか。
②未成年は指定代理請求人として給付金を請求できないのに、なぜ指定代理請求人になれるのか
③義姉が亡くなった時の死亡保険金受取人は義姉娘だが、義姉娘には親権者がいないため死亡保険金は受け取れない。
K様家族が後見人になる以外に、義姉娘が死亡保険金を受け取ることはできるのか。
①請求から振込までなぜ時間がかかるのか
回答
結論から言うと、通常の規定は今回適用できないそうです。
手続きにお時間がかかる理由は下記の2つの処理が必要なため。
- 診断書を見て義姉様に意志能力がないか、保険会社が判断する必要がある
- 指定代理請求人が代理請求できるのか、保険会社が判断する必要がある
年末年始を挟んだこと、所管部署が複数に渡ることもあり、判断までにかなり時間を要するようです。
解説
給付金請求については、指定代理請求人になっていなくとも「保険金を請求すべき相当な関係」であると保険会社が判断した場合は、代わりに請求することができることもあります。
「義姉娘が未成年」という今回の事例の場合、義姉の弟、つまりK様の夫であれば請求できるかもしれません。
家族のうちの誰が請求すれば、最も速く給付金を受け取ることができるのか、保険会社の担当に聞いてみるのも手です。
※上記のルールは保険会社によって異なります。必ず担当の方に質問してくださいね。
②未成年が指定代理請求人として給付金を請求できないのに、なぜなれるのか
回答
「未成年の方が指定代理請求人になれない」という規定がないため、指定できるとの回答でした。
解説
K様の保険会社担当者が、未成年を指定代理請求人にすることのリスクをしっかり話していないことに憤りを感じます。
規定上は未成年も指定代理請求人になれますが、時間と手間がかかります。
指定代理請求人に指定できる範囲は、たいていの場合下記の通り。
- 配偶者
- 直系血族(祖父母、父母、子、孫など)
- 同居または生計を共にする三親等以内の親族
- 兄弟姉妹※保険会社による
今回の事例の場合、該当の保険会社は兄弟であるK様の夫(義姉の弟)が指定代理請求人になることができました。
義姉の親族が未成年の娘しかいない状況では、弟であるK様の夫が指定代理請求人にした方がいいと判断するのが妥当です。
※保険会社によってルールが異なるため、必ず保険会社に確認してください。
③親権者のいない娘は後見人をつける以外に、死亡保険金を受け取ることはできないのか
回答
結論から言うと、該当の保険会社では「後見人がいらっしゃらない未成年の方は、基本的に死亡保険金のお受け取りが出来ない」です。
未成年の娘が死亡保険を受け取るには、
下記の3点のどれかに当てはまらなければいけませんでした。
- 結婚する
- 20歳を迎える
- 後見人をつける
後見人をつけられないとなると、20歳の誕生日を迎えるまでは、死亡保険金を受け取ることが難しそうです。
死亡保険金は、受取人に指定された方を変更するのに被保険者の同意が必要なため、被保険者である義姉が意識不明となられている今は、変更ができません。
つまり、娘が20歳を迎えるまで待つしかないのです。
解説
シングル家庭の方には必ずご説明するべき重要事項です。
出来れば成人済みのご兄弟やご両親を死亡保険金受取人にしたほうが楽。
ただご家庭によっては様々な事情があり、ご兄弟やご両親を死亡保険金受取人にしたくない場合も。
そういったことも含め、必ずご契約前に確認してください。
保険以外で困ったこと
この他にもK様より頂いたメールには義姉様の契約で解約できないものが多く困った、というお話もお伺いしています。
- Amazonや通信販売サイトの定期購入商品が解約できない
- 携帯電話の解約ができない
- 自宅のインターネットが解約できない
- 保険金振込先が義姉口座だったためお金を下せない
(口座名義人の意思確認がないままお金を下すと窃盗罪になります!)
調べてみたところ、医師の診断書や、手続きする方の本人確認書類等を準備すれば、解約できるかもしれないようですが、企業に個別問い合わせが必要でした。
ちなみに、医師の診断書は病院によって異なり、1通につき約3000円~5000円ほどが相場です。
保険金を受け取れたとしても、義姉の口座に振り込まれるため、義姉が亡くならない限りお金を下すことはできません。
にもかかわらず、義姉の一人娘の学費や生活費についてもK様のご家族が負担することになるとのことでした。
総じて、手間とお金がかかりますね…。
実はこれらの問題はすべて、義姉の成年後見人がいれば解決できます。
成年後見人とは認知症などで自己判断能力が不十分になった人をサポートしていくために作られた制度です。
様々な理由で自分の財産管理ができなくなった場合に、親族や弁護士などを成年後見人に指定しておくと、銀行口座の管理や携帯の解約などを成年後見人が代理で手続きできます。
成年後見人については次回の記事でお話ししようと思います。
まとめ
今回のケースはシングル家庭で未成年のお子様がいらっしゃる方は、誰にでも起こりうる事例でした。
このような事態にならないようにするために、今からできる具体案をまとめます。
- 指定代理請求人は両親や兄弟(保険会社に確認)に指定する
- 死亡保険金の受取人は 両親や兄弟(保険会社に確認)に指定する
- 両親や兄弟が指定できなければ、自身の成年後見人をつける
- どうしても未成年の子供を指定したければ、子供の未成年後見人をつける
- 定期購入一覧を作っておく
- パスワード等は厳重に管理してまとめておく
ご自身に万が一のことがあった時を想定して、できるだけ早く対処したほうがいい問題です。
いま一度、ご自身の保険について見直してみてくださいね。
FPかぴさんの所感
K様にご連絡いただき、保険の意義や自分のやるべきことに真剣に向き合うことができました。
決して気を抜いて仕事をしていたわけではありませんでしたが、今一度、気を引き締めて仕事をしなければならないと思った次第です。
K様、K様から頂いたお問い合わせのおかげで、大切なことを学ばせていただきました。
この場を借りて、改めてお礼申し上げます。
そして、指定代理請求人を未成年にしている方、この記事をご覧いただいたならぜひ一度考え直してみてはいかがでしょうか?
ご家族で話し合っていただくべき大切な内容です。
指定代理請求人変更は、あまり難しくはありません。
保険会社に問い合わせれば必要書類を送ってもらえます。
面倒だと放置していると、後で痛い目を見ることになるので要注意です。
この記事が皆様のお役に立てることを、心から願っております。
本日もお読みいただきありがとうございました。